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Special Interview: 第3回「ボーイミーツガールに見る国民性」

第3回「ボーイミーツガールに見る国民性」

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松島 海外の歴史映画ということで作品を選ぶ価値基準について教えてください。

高橋 基本的に作品の選考は最終的にはぼくがドーンと決めちゃうんですけど、
一応3つの観点があって。

松島 ほう。3つですか。

高橋 ひとつは、歴史映画として現代性を持っているか?ってこと。
予定調和のメロドラマで終わっていないかどうかですね。
ふたつめが、観客が見たいところを見せてくれているか。
いままでに見られない絵があるかどうか。
最後の3つめがいちばん大事なんですけど、その国の文化歴史を
知らなくてもおもしろいかどうか。

松島 なるほど。

高橋 だからやっぱり290本もあるとね、その国の歴史に頼りすぎている映画
というか、たとえば独立戦争のリーダーが苦心惨憺してどうしたこうした
みたいな話は山ほどある。

松島 たしかに。

高橋 その主人公が民族の英雄で、しかも現政権のちょっとしたプロパガンダ
映画になってるというような作品はそれこそいっぱいあるわけです。
だからそればっかり語られる映画はちょっとご遠慮願っている。

松島 それは政治色が強すぎるということだけではなくて、
さっきおっしゃったようにやっぱりその国の歴史や
文化や政治体制をかなり深く知っていないと理解できない
ということも要因としてあるんですよね?

高橋 うーん、まあそれももちろんありますけど、とりあえず
映画としてつまんないよね、っていうのはありますよね。

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松島 ハハハ。それはそうだ。

高橋 紋切り型過ぎてっていうね。

松島 そんなのばっかりじゃ、映画祭としては成立しない。

高橋 ただそうはいっても、やっぱりその国の文化性っていうのは
必ず出てきちゃうし、そこがおもしろいところでもあるわけ。
同じボーイミーツガールを描きながらもなんでこんなに違うんだろう?
っていう、その違いがおもしろさでもあるわけだからね。

松島 ああそうか、ボーイミーツガールっていうフォーマットは世界共通ですからね。

高橋 そうなんです。

松島 そのフォーマットのなかで出てくるお国柄とかがおもしろい。

高橋 まったくそのとおりで。だからそのスペインの市民戦争とフランコ政権が云々とか、
そのへんの背景がわかんないとおもしろくないよっていうのはやっぱりノーだと思うんだけど、
それがなくてもスペインでしかありえないようなとか韓国でしか出せない味とかは
ふつうにあるので。

松島 インドの映画なんてそうですよね。あれミュージカル映画っていうジャンル
としてじゃなくて、とりあえずかならず歌って踊るっていうのが映画の文法の
オーソドックスになっているんですもんね。

高橋 あれは典型的ですよね。

松島 先日お茶をやってる人といろいろ話をしていて、作法というのはつまり「型」なんです。
で、きっちり型どおりにやることで逆にこぼれてくるものがある。これはやりにくいとか、
こっちのほうがフィットするとか。つまり型を作ることで逆に個性が立ち現われて
くるんだという話なんです。いまのお話を聞いていて同じことだなと。

高橋 そういうことだと思います。

松島 ボーイミーツガールっていう型があったほうが国ごとの違いが分かりやすいかもしれない。
だからいわゆる固有の史劇よりも、エンタメ映画の「型」の中にこそ国や民族の
固有性が出ているのかもしれないし、大上段で歴史を語る映画よりそのほうが
むしろ違いがスッと自分の中に入ってきやすい。

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高橋 やっぱりねえ、そういう違いがないとおもしろくないんですよ。

松島 いままででいちばん物議を醸した映画ってありました?

高橋 うーん、やっぱり第3回のときの「最後のネアンデルタール人」。

松島 あ、これ僕が観に行った年にやってたやつですね。

高橋 これ観た?

松島 いや、すんごい観たかったんですけど観てないんです。

高橋 それは残念!

松島 良かったんですか?

高橋 良かったっていうかねえ…

松島 ???

高橋 まあこれこそヒストリカ映画祭史上に残る珍品!

松島 爆笑

高橋 これが歴史かよ?っていう。有史以前やんけ!っていうね。

(ふたり爆笑)

松島 終わった後の反応ってどうだったんですか?

高橋 いやあ、ものすごいもの観ちゃったっていうね。

松島 アハハハハハ

高橋 なんといっても有史どころか言葉以前ですからね。

松島 そうですよね(笑)。

高橋 だから台詞が「ウー」とか「アー」とかしかないわけ。

松島 アハハハハハ

高橋 まあ主人公の心象を語るモノローグがナレーションで入るんですけどね。

松島 それを字幕で観るっていうのもなんかすごい世界ですよね。

高橋 あれはほんとに珍品でしたね。

松島 それこそヒストリカ映画祭でしかかからないですよね(笑)

高橋 ぜったい他では見られないですよ。

(つづく)