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Special Interview: 第4回「オープンマインドであるということ」

第4回「オープンマインドであるということ」

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松島 さて、そろそろ今年の見どころについて伺いたいですけど。
まず「ヒストリカスペシャル」というカテゴリですね。

高橋 今年はやっぱりなんといってもパトリス・ルコントが映画祭に来て、
初日に挨拶もしていただけるというのは本当に誇らしいですね。

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松島 ぼくも「仕立て屋の恋」とか「髪結いの亭主」とか観ました。
大好きな映画ですし、監督さんです。

高橋 これまでも日本国内の有名な監督さんに来ていただきましたけど
でもやはり国際映画祭として開催されるうえにおいて、
これだけ世界的にネームバリューのある方にお越しいただける
というのは、とても光栄なことです。

松島 どういう経緯で来場されることになったんですか?

高橋 まず、たまたま新作の「暮れ逢い」が歴史劇だったっていう。

松島 ハハハハハ

高橋 これが現代劇だったらオファーできないわけですから。

松島 それはそうだ(笑)

高橋 しかもお正月に日本で上映されるということもあって、
配給会社さんとしてもタイミングがすごくよかった。

松島 この「暮れ逢い」という映画はドイツが舞台なんですよね?

高橋 ええ。

松島 フランス人監督で、ドイツが舞台で、なんで英語だったんだろう?

高橋 やっぱり彼は国際マーケットっていうことをね
きちんと意識されているんだろうと思うんですよ。

松島 なるほど、そうか。

衣川 パトリス・ルコントの前作はアニメーション作品だったんですよ。

高橋 アニメーションもつまりはボーダーレスなものですよね?
やっぱりそういう意識を持った方なんだと思います。
これはさっきの選考基準とも重なる話なんですけど、
やっぱりドメスティックな作品っておもしろくないんですよ。

松島 それ、すごくわかります。

高橋 ドメスティックマーケットにしか出さないことを前提にした
視点で作られた歴史映画っていっぱいあるんですけど、
やっぱり外国人であるぼくらには響いてこないんですよ。

松島 自分たちさえわかればいいと思っているからですよね。

高橋 いっぽうで海外マーケットに出そうっていう意欲のある作品って
やっぱり普遍性があるから、それなりに見どころがあるんですよね。
だから今回のパトリス・ルコントの英語というチャレンジもたぶん
そういうことなんだと思うんですよ。

松島 それ出版もそうなんですって。

高橋 出版ですか?

松島 ええ。先日ニューヨークで日本の書籍を英語に翻訳して出版する
エージェントで仕事をされてる方に伺ったのですけど、
日本市場向けに日本語で出版されているノンフィクション作品は、
内容や視点までがドメスティックになってしまっていて
海外読者にも読んでもらおうっていう意欲がないから、
翻訳したって売れないってアメリカの出版社にいわれるそうです。
視点が外に開いてないと海外マーケットで読んでもらえないですよね。

高橋 そういう意味ではパトリス・ルコントもそうですけど、
「るろうに剣心」も視点を外に開いている作品だと思います。

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(c)和月伸宏/集英社 (c)2012「るろうに剣心」製作委員会

 

松島 もうひとつの作品「るろうに剣心」は海外でも人気ですよね?

高橋 決して中身を海外向けにしたわけではないと思いますし、
監督の大友啓史さんも、とくに世界のマーケットで売れたいと思って
作ったわけじゃないとは思うんです。でも日本人だけに通用する
ものを作ればいいということでやっているわけでもないという
感じはあると思いますよ。

松島 わかります。文章を書くときもそうで、外国人にわかりやすく
書くというときに、「翻訳しやすい文章とは?」みたいなことを
特別に意識はしなくても、たとえば物事の本質にフォーカス
するというか、普遍性の部分を強調するかたちで書くことで
オープンな視点になりますよね。でもそれは意識しないとできない。

高橋 まあ結果的にあれだけ海外で成功しているわけですから。
ワーナーブラザーズのローカルプロダクションのひとつの
エポック的な作品になるんじゃないですかね。

松島 しかも今回、全作上映っていう。

高橋 丸一日かかりますからね(笑)

松島 (プログラムを見ながら)ほんとだ!

高橋 かなり覚悟して来てください(笑)。

松島 朝10時20分から始まって、夜9時半までありますもんね。

高橋 もうフラッフラになると思いますよ。

一同爆笑

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(c)和月伸宏/集英社 (c)2014「るろうに剣心 京都大火」製作委員会

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(c)和月伸宏/集英社 (c)2014「るろうに剣心 伝説の最期」製作委員会

 

松島 「るろうに剣心」は英語字幕もありますよね。

高橋 そうなんです。今回のように日本映画で英語字幕付けるのは初めてです。

松島 そういう意味では、京都に住んでいる外国人の方にも見に来て
いただく機会になりますよね。在住歴の短い方で細かいニュアンスが
わからない方にとっても英語字幕というのはいい試みですよね。

高橋 そういえばそういう人ってふだん日本映画ってどうしてるんだろう?
DVDで観てるのかな?アメリカのアマゾンとかで英語字幕付きのものを
買ってるのかな。

松島 なるほどね。

高橋 いまだいぶはやく出てるし、アメリカで買った方が日本より
安かったりするからね

(つづく)