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Special Interview: 第8回「ローカルな物語を求めて」

第8回「ローカルな物語を求めて」

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松島 グローバリゼーションとローカル、それと映画というテーマでした。

高橋 とくに今年は歴史映画リバイバルというか、世界中で歴史映画が
増えてるっていう実感があるんです。

松島 ああ、そうなんですか?

高橋 はい。それはやっぱり世界中の人々が歴史を求めてるっていうか
ローカル固有の物語を求めてるんじゃないかという気がします。
なのでやっぱり互いの固有の物語をもってして皆さん仲良くしましょうよ、
っていうのはたいへん素晴らしいことだと思うんです。

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松島 まったく、その通りですよね。

高橋 まあそういう意味でもわれわれのやってることって、映画としては
もちろんですが、国際交流とか相互理解としてのツールとして
使っていただけたらなあと思っているんです。

松島 ぼく映画がそういうことにいいんじゃないかなあって思う理由は
感情に訴えることができる点なんです。

高橋 うんうん。

松島 いまネットとか見ててもみんながあっちこっちでいろんな意見を言い合ってて、
それはだいたい誰かに対する批判で、見ているとぜんぶそれはまあ正論では
あるんですよ。

高橋 ええ。

松島 でもその正論の理屈だけでは世の中や人というのはなかなか
動かないわけです。

高橋 そうだよね。

松島 やっぱりどうしても感情の部分が残るんです。

高橋 理屈だけじゃないからね。

松島 ええ、そうなんです。感動して感情を揺さぶられることで
わかることってやっぱり強いんじゃないかなあと思うんです。

高橋 絶対的にそうですよね。

松島 理屈を理解する前に、感情の理解が先にないと。

高橋 やっぱりまさかウクライナとかチリとかメキシコとかブラジルとかの
歴史なんて知らないわけだけど「少年が父ちゃんに殴られて
母ちゃんに助けを求めて」みたいな話っていうのは
それはどこでもいっしょなんですよ。やっぱり。

松島 はい。

高橋 そういう普遍性のある物語というか感情というか、そういうものが
描かれるのが映画であるし、それが映画の力ですからね。
それが国境を越えて、民族を超えて、歴史を超えて、人をつなぐわけですから。
そういう力のある映画を選んで観てもらいたいっていうね。

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松島 大テーマを抱えて民族の歴史を大上段に構えて正論で語っていくような
映画っていうのは逆に閉じてしまって他の文化の国に伝わりにくいでしょう。

高橋 わかります。

松島 むしろフォーマットはラブコメディだったり、ホームドラマだったり
するんだけど、そのなかに国固有の歴史が語られていたりする方が、
物語として開いているので、他の国の人たちにその国の文化を
伝えやすい気はしているんです。

高橋 たしかに、そうですね。

松島 パッと見はエンタメやアクションだったりするかもしれないけど、
通底しているものは歴史劇としての面があるっていうことなのかなあ
という気がしました。

高橋 特に今年は「るろう剣心」にが英語字幕でかけることができます。
京都に住んでいる外国人という存在がそもそもボーダーレスな方々なんで、
そういうカルチャーなり民族を超えるっていうことは
おのずからやってらっしゃる方だろうから、そういう人たちに
映画祭に来てもらって、違いの面白さだったり、共通点だったりを
見出してもらえたらと思います。

松島 そういう意味ではたしかに京都に住む外国人たちの方が、
京都ヒストリカ国際映画祭の意義を理解しやすいのかもしれないですね。

高橋 たとえば「ベル」にしても、奴隷制度なんていうのはそれこそ
われわれ日本人にはなかなかわかりにくいんじゃないかと思うんです。

松島 そうなんですよね。頭では理解していても、実際にそういう人が
身近にいてっていうことは経験がないですからね。

高橋 だからそういう意味ではむしろ外国人のほうが実感としてわかる
部分はあるかもしれません。あと「黄金」のテーマであるゴールド
ラッシュなんかにしてもアメリカとカナダでの違いとかね。ここに
集まるのは8人くらいなんだけど、どうしてドイツ人だけ集める
ことができるのかとかね。

松島 なるほど。

高橋 そういうことを在京ドイツ人とか在京カナダ人とかに聞いてみたら
おもしろい話があるかもしれないなあと思いますよね。

松島 そもそも京都が映画の都だったということもたぶん外国人の方も
知らないでしょうしね。

高橋 歴史と映画とがある街ってじつは世界にそんなにはないんですよ。
そういう意味で国際歴史映画祭をやる資格がある街って日本では
京都だけだし、世界でもあとはおそらくパリぐらいじゃないかな。
モスクワとかね。

松島 そういえばそうですよね。

(つづく)