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Special Interview: 第9回「観光と時代劇映画祭」

第9回「観光と時代劇映画祭」

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高橋 いまや京都の映画の歴史ももう100年以上になるわけで、
日本映画ってそれなりの重みをもって世界の人に受け止められています。
ぼくらは京都ヒストリカ国際映画祭以外に「フィルムメーカーズラボ」
っていうのをやっているんですけど、海外から若手作家たちが
すごく喜んでで来てくれています。

松島 「フィルムメーカーズラボ」っていうのはどういうものですか?

高橋 2008年にベルリン映画祭の「タレントキャンパス」っていうのを見て、
こういうことを京都でもやりたいということで始めたんです。

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松島 ベルリン映画祭のプログラムをヒントにしたということですか?

高橋 まあそうですね。じつはベルリン映画祭っていうのはカンヌ、
ヴェネチアに続く世界三大映画祭のなかで3番目なんですよ。
なぜ3番目かっていうと、ほかのふたつは観光地で開く映画祭です。

松島 そうですね。

高橋 だから普段の人口が50万人もいません。ところがベルリンだけ
300万都市なんですよ。で、人口300万人の大都市でやる映画祭
っていうのはどうしても薄くなっちゃうんです。

松島 それは密度のことですね。

高橋 ええ。もちろん来場者は多いんですけど、映画祭の密度が薄い。
まあそれを解消するっていうのがひとつのテーマで。

松島 若い才能を集めたいっていうのもありますよね?

高橋 もちろんです。それをドイツの外務省がスポンサードして、
中国とかインドとかアフリカとか、わりと戦略的な拠点から
若手のクリエイターをドイツ・ベルリンに集めてきて、
ベルリンで合宿させるわけ。

松島 なるほど。

高橋 いっぽうで映画祭に来る超一流の監督やプロデューサーなどの
ゲストを集めてトークさせると、当然若手は聞きに来ますよね。
するとそこにひとつのサロンができて、濃密な空間ができるわけです。

松島 なるほど。

高橋 そこに来る若手作家というのはたとえば「ザンビアのテレビ局で
台本書いてます」みたいなやつです。ザンビアではトップの
クリエイター。で、ザンビアでドキュメンタリー撮ったら
恩返しとしてベルリンに作品を持ってきたりするわけですね。
そうしていい循環が生まれていくんです。

松島 それをどうにか京都でも出来ないかということですね。

高橋 そうです。ベルリンのタレントキャンパスっていうのは
300人くらい呼ぶんですよ。だから数は多いんだけど
これはこれで薄まっちゃうんです。

松島 たしかに。

高橋 じゃあ京都ではワークショップやりましょうと。
「ハンズオン時代劇」っていって、時代劇制作をプロから指導
いただきながら作るっていうのをやりましょうとなった。

松島 いい取り組みですね。

高橋 そうしたら中にはベルリンのタレントキャンパス経験した人も
来てるんだけど「京都はクレイジーだ」と言うんですよ。

松島 どういうところがですか?

高橋 それはねスタジオの中でやるワークショップっていうことなんです。
東映なり松竹なりのベテランの人たちがそこにきちんとコミットして
やるワークショップね。実際にプロの使っている俳優やセットを
使ってやるわけだから。

松島 そういうのはあんまりないんですね?

高橋 世界中探したってないっていうのね。

松島 へえ。

高橋 だから、そこに来て、一週間京都の町家で合宿してるともう
みんな仲良くなっちゃうわけ。

松島 それはもう絶対的にそうですよね。

高橋 その体験がやっぱり忘れられないっていうのね。

松島 映画っていう共通の目標があって、そういうすばらしい環境で
制作ができて。それはいい体験ですよね。

高橋 まあ今年で言うと6日から映画祭が始まって14日で終わります。
その翌日15日から4日間フィルムメーカーズラボがあるんです。
その人たちはだいたい11日くらいから日本に来るんですけど、
ヒストリカ映画祭のプログラムを見て、合宿生活を始めます。
その中でゲストの人たちと交わってもらったりすることもあると
思います。それはたいへん国際映画祭的な取組みだと思いますね。

松島 参加された方の声とかはあるんですか?

高橋 ヒストリカのフェイスブックに集まってくるんですけど、自慢話もあれば
今度DVD出しますっていう告知もあります。コンペに出ますとか
いろいろ上がってくるんですけど、どんどんクオリティが高く
なってきていて驚かされます。

松島 うれしいですよね。

高橋 そりゃあうれしいですよね。「長編撮りました」とか「アマゾンで
売ってるので買ってください」とかね。どんどんビジネスぽい話も
飛び出してきてて、逞しく育ってるなあと。

松島 いいですよね。そういうのを通じて日本や京都を好きになったりね。

高橋 それはもう間違いなく好きになると思いますよ。

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松島 ENJOY KYOTOは「住みたくなる京都」をコンセプトにして
いるんですけど、その考え方のヒントになったのは、かつて
大学生で海外に留学した学生にまとめてインタビューしたときに、
いまはフェイスブックがあるから帰国後もふつうに友人関係を
続けられるんだっていうことに気づいたんですよね。

高橋 そうだよねえ、すごいよねえ。

松島 そう。僕らの時代なんかは仮に海外の友人ができてもエア
メールを二、三回やりとりしたらなかなか続かなくて、
結局は縁遠くなってしまうこと多かったんですけどね。

高橋 いまは出来ますからね。

松島 だからそういう意味でも

(高橋さんのタブレットで保存されている写真を見ながら)

高橋 こいつなんかはね、このラボにマケドニアから来たんだけど、
いま駐日マケドニア大使になっちゃった。

松島 大出世!

高橋 こいつ呼ばわりですけどね(笑)

松島 高橋さんは、映画祭の今後はどう考えていらっしゃいますか?

高橋 あの夢ですけどね、夢でいえば時代祭りから古典の日までっていう
10月22日~11月1日のあいだ。時代祭りの後ろにコスプレ行列を
歩かせるところから。。。いや、これはやめとこう(笑)。

松島 アハハハハ

高橋 まあ「歴史を楽しむ」っていう文化が京都にはたくさんありますし、
歴史を見立てて遊ぶみたいなのが時代劇でもあるわけだから、
そういうのは京都にすごくフィットしたコンテンツだと思っています。

松島 たしかに、言われるまで時代劇と観光っていっしょに考えたこと
なかったかも。

高橋 ですよね。でももともとベネチアとかカンヌみたいなリゾート地で
映画祭ってやるもんだからね。だから一泊してやるもんだと
思うんです。でも東京だとどうしてもビジネスになるんで
朝会社行ってそれから行くっていう流れにどうしてもなるんです。

松島 そうですね。

高橋 京都に泊まってその周辺のカフェでベルトリッチが朝飯の
テーブルに突然踊りこんできて次作について語りだすっ
ていうのが映画祭だと思うんです。そういう密度のある空間で、
二条城とか本願寺だとかっていうところでマーケットやるとかね、
そういうような映画祭になったらいいですね。

松島 映画祭に出品された作品の国のご飯が食べられたりとかね。
なんかいろんな国の人が来て泊まって映画を見てモノを
食べたり交流したりしてっていいう、そういう広がりのある
イベントになっていけばいいなあっていうのはありますよね。

高橋 そうなっていけば理想ですよね。

松島 今日はありがとうございました。

(おわり)